映画に感謝を捧ぐ! 「港のマリー」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はマルセル・カルネ監督の「港のマリー」に  感謝を捧げようと思います。  ホテル経営者「シュトラール」と港町の食堂で働く女性「マリー」の  運命を描いた本作は  ロマンと作劇術に彩られた恋愛映画であります。  多彩な登場人物&人間関係を段階的に整理し  スケール感の適性範囲を保ち続けるストーリー&演出と  庶民的ムードとスター性が入り交じった俳優&女優陣が一体となる光景は  私に俗物性と文学性の共同戦線と  「男性と女性の精神的相違点」と「異文化&異世代交流の複雑さ」を  恋愛映画的に表現する手法の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (ハッピー・エンドにありがちな「ご都合主義感」を  渋味によって緩和する幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「フランス流格差恋愛劇」の雄と呼ぶにふさわしい  作品であると言えるでしょう。  港町の特性&若者心理を生かした物語作り+風景描写と  複雑怪奇な男女関係を写し出しながらも  一定の上品さを維持する映像技が冴え渡る本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。