映画に感謝を捧ぐ! 「モンパルナスの夜」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はジュリアン・デュヴィヴィエ監督の  「モンパルナスの夜」に感謝を捧げようと思います。  ジョルジュ・シムノンの小説「男の首」をもとにして作られた本作は  静かなる技巧と恐怖に彩られたサスペンス映画であります。  欲望と狂気が絡み合う殺人事件の行方を  技巧的且つクールに写し出すストーリー&演出と  ヨーロッパ風味漂う俳優&女優陣が一体となる光景は  私に「見世物的残酷描写」に依存しない恐怖の生成と  金銭欲と自暴自棄的狂気が出会うことによって生じる悲劇の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (謎解き&勧善懲悪の爽快感よりも  狂気からの解放と苦味を感じさせる  幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「陰謀+異常心理系サスペンス」の一翼を担う  作品であると言えるでしょう。    探偵小説と異常心理劇、大衆娯楽と文学の魅力が  軽業的バランスで共存する本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。