映画に感謝を捧ぐ! 「HOLE ホール(2005年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はカルロス・マルティン・フェレーラ監督の
「HOLE ホール(2005年版)」に感謝を捧げようと思います。
井戸に閉じ込められた男と
彼を監視する男2人の運命を描いた本作は
執念と工夫に彩られた閉鎖系サスペンスであります。
「舞台の大半が井戸の中」、「登場人物数3人」という
「登場人物&場所に関する説明を避ける」という
過酷な設定の中で
娯楽的スリル&サスペンスを維持するため
舞台劇風味溢れる音楽、技巧的な映像表現
各種トラブル要素誘発の限りを尽くす
スタッフ陣の勇姿は
私に「物理的制約の中で知略&技術を駆使する」醍醐味
「理解不能な状況」がもたらす魅惑&恐怖
節約主義と思わせぶり主義の共同戦線の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(冷徹なる豪快さで鑑賞者を突き放す幕切れを通じて
「生還=ハッピー・エンド」の法則に反逆する
過激作であるという点も見逃せません。)
まさに「精神迷宮系サスペンス」の一翼を担う
軽量級作品であると言えるでしょう。
抽象化&省力主義的なストーリー&演出によって
鑑賞者と主人公が「未知の空間に捕らわれる苦悩&混乱」を
共有する現象を生成する事に挑んだ本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。