映画に感謝を捧ぐ! 「謎の狼女」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はジーン・ヤーブロー監督の「謎の狼女」に  感謝を捧げようと思います。  公園で発生した連続殺人事件を取り巻く  人々の運命を描いた本作は  見世物的且つ上品なスリル&サスペンスに彩られた  異常心理劇であります。  モンスター映画要素と推理劇要素を融合させ  残酷描写を巧みに抽象化しつつ  軽やかに進行するストーリー&演出は  私に特殊効果&人体破壊に依存しない怪奇ムードの生成と  肉親の死&複雑化した家族関係が巻き起こす悲劇の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (勧善懲悪&ハッピー・エンドの爽快感よりも  運命のいたずらに対する恐怖&犯罪サスペンスに対する皮肉を感じさせる  「犯人の最期」となっている点も見逃せません。)  まさに「軽量級異常心理劇」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。  モンスター映画の装飾を纏いつつ  異常心理と欲望の融合がもたらした恐怖を  描くという奇襲的発想と  殺人シーンに依存しない猟奇的ムード生成術に    驚かされる本作と  生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。