映画に感謝を捧ぐ! 「オン・ザ・ハイウェイ その夜 86分」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はスティーヴン・ナイト監督の
「オン・ザ・ハイウェイ その夜 86分」に感謝を捧げようと思います。
夜のハイウェイを走る男「アイヴァン・ロック」の
運命を描いた本作は
映画的ダイエット&純文学性の極みを目指して
突き進む挑戦作であります。
「画面に映るのは主人公とその周辺のみ」
「主人公以外は声のみ」
「編集による時間操作を極限まで抑える」という制約の中で
娯楽的盛り上げに背を向け、クールに進行するストーリー&演出は
私に、「夜の単独行動&職務が人心に与える影響」
人生に宿る「スリル&サスペンス+文学要素」
空間&人員的抑制による精神的スケール感増幅の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(悲劇に支配された世界の中で
「ささやかなハッピー・エンド」を写し出す事によって
哀愁と希望が入り交じった幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「空間限定型道中劇」の静かなる強豪作であると言えるでしょう。
人生における決断&時間の重み、道中劇の持つ可能性
「見せるべきポイント」に全勢力を注ぎ込む映像作品の魅力
悲劇と滑稽劇の秘めたる近似性を体現する本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。