映画に感謝を捧ぐ! 「無謀な瞬間」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はマックス・オフュルス監督の「無謀な瞬間」に  感謝を捧げようと思います。  娘を守るために奮闘する主婦「ルシア・ハーパー」と  彼女を取り巻く人々の運命を描いた本作は  庶民性と極道性が交錯する巻き込まれ映画であります。  娘の罪を隠蔽するため「犯罪の底なし沼」へと落ちていくヒロインと  彼女の家族愛&執念に感化されていく悪漢の姿を  サスペンス風味とホームドラマ風味を融合させながら描いていくという試みは  私に「日常に潜む犯罪誘発要素」と「愛情が人間に与える影響」の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (ハッピー・エンドの爽快感よりも  運命のブラック・ユーモア性&男の無器用な愛が印象深い  幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「日常系犯罪劇」の雄と呼ぶにふさわしい  作品であるといえるでしょう。  効率的&見せ場主義的に進行しつつも  人情味を感じさせるストーリー&演出によって  愛と良心の間で揺れ動く女性たちの思いに迫る本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。