映画に感謝を捧ぐ! 「肖像」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は木下恵介監督の「肖像」に
感謝を捧げようと思います。
画家一家と共同生活を始めた
男女の運命を描いた本作は
軽快でありながらも貪欲な日常劇であります。
穏やかな日常風景、戦争の傷跡
芸術性と商業性の複雑な関係、人生論が
複雑に絡み合う事によって生を受け
軽妙且つ文学的に進行するストーリー&演出は
私にユーモアとシリアス、効率性と人情味の
バランス感覚に秀でた映像作品の醍醐味と
「娯楽と社会の関係」に関する一考察を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(ハッピー・エンドでありながらも渋味の利いた
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに軽量な外見の中に重厚なメッセージを宿す
「和製日常劇」の雄であると言えるでしょう。
状況設明や感動誘発に依存しないクールな作風と
人間の持つ「善意」への信頼が共存する本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。