映画に感謝を捧ぐ! 「らせん階段」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はロバート・シオドマク監督の「らせん階段」に  感謝を捧げようと思います。  エセル・リナ・ホワイトの同名小説をもとにして作られた本作は  過激さと技巧性が交錯する犯罪サスペンスであります。  「身体障害者を標的とする殺人者」という過激な設定  物語の大半が「屋敷内」で進行するという空間的制約  「目線」に対するこだわり、残酷な場面の抽象化  幻惑的映像表現が一体となることによって  生を受けたストーリー&演出と  推理小説風味溢れるキャラクター造形が一体となる光景は  私に「倫理規定による制約」の中で猟奇性を高める手法と  ホームドラマとサスペンスによる共同戦線の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (どんでん返しの衝撃よりも「過去の呪縛」から解放された  人々の姿が印象深い幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「家族劇型技巧派サスペンス」の一翼を担う  作品であると言えるでしょう。  閉鎖系ミステリーの王道&サスペンス系映像技を駆使して  過去の悲劇&歪んだ教育がもたらしたトラウマによる悲劇を  描くことに挑んだ本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。