映画に感謝を捧ぐ! 「スナイパー・バレー」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はルドルフ・シュヴァイガー監督の  「スナイパー・バレー」に感謝を捧げようと思います。  1999年のコソボに派遣されたドイツ軍兵士たちの  運命を描いた本作は  クールな苦味に彩られた戦争映画であります。  娯楽映画的装飾&状況設明を極限まで抑制し  「コソボ紛争」を淡々と写し出していくストーリー&演出  キャラクター造形は  私に「戦争における人命の小ささ&正義漢に潜む残虐性+傲慢さ」を  映画的に表現する手法と  「暴力的な行為&残酷な環境に順応し、日常として受け入れる」恐怖の  一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。  (娯楽映画的ハッピー・エンドの形態を取りながら  「戦争にハッピー・エンドは存在しない」事を暗示する  幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「コソボ紛争入門」の一翼を担う  作品であると言えるでしょう。  「コソボ紛争」の一端を描いた作品世界の中で    娯楽的サービス精神と現実的目線  法秩序と愛、大義と人情が静かにせめぎ合う本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。