映画に感謝を捧ぐ! 「殺人!」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアルフレッド・ヒッチコック監督の「殺人!」に
感謝を捧げようと思います。
クレメンス・デイン&ヘレン・シンプソンの小説&舞台劇
「Enter Sir John」をもとにして作られた本作は
ある種の実験精神を感じさせるサスペンス映画であります。
サスペンス的映像技、舞台劇的台詞回し、法廷劇的論争を
融合させたストーリー&演出が緩やかに進行することによって
「ミステリー+コメディ風味」が生成されていく光景は
私に「推理劇と喜劇の秘めたる共通項」と
「陪審員を務める」ことの過酷さを映画的に表現する手法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(芸術的狂気漂う「犯人の最期」が
ハッピー・エンドと哀愁の入り交じった感触を
もたらしている点も見逃せません。)
まさに「ブラック・ユーモア系探偵映画」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
スリル&サスペンスよりも軽快さが勝るストーリー展開の中で
先入観の恐怖&陪審員制度の問題点を指摘し
後年の「十二人の怒れる男」等に通じる道を切り開く事によって
内容以上の価値を持ったサスペンス映画となった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。