映画に感謝を捧ぐ! 「ある物語」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。  今回はアンドリュー・スタントン監督の「ある物語」に  感謝を捧げようと思います。

 TV番組の世界へとやってきた少年「メルヴィル」と  相棒「テッド」の運命を描いた本作は  軽量にして大胆なアニメーション映画であります。  冒険活劇的アクション、サイレント喜劇的ブラック・ユーモア  「TV」に対する皮肉を兼ね備えたストーリー&演出が  驚異的なスピード感で進行する光景は  私に「効率主義と詰め込み主義の共同戦線」と  「残酷な状況をコメディ化する技法」の一形態を  目の当たりにする機会をもたらしました。  (「アクション映画的ご都合主義」を失った物語世界の悲劇と  ハッピー・エンドの香りを融合させるという  大胆不敵な賭けに挑んだ幕切れとなっている点も見逃せません。)  まさに「軽量級冒険映画」史上屈指の陽気な過激作であると言えるでしょう。  後年の「ラスト・アクション・ヒーロー」に通じる発想で幕を開け  ファミリー向けサービス精神全開で進みつつ  最後に「冷酷なる現実の刃」を放つという離れ業に挑んだ本作と  生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。