映画に感謝を捧ぐ! 「危険な場所で」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はニコラス・レイ監督の「危険な場所で」に
感謝を捧げようと思います。
巨匠たちのハリウッド 生誕百周年 ニコラス・レイ傑作選 危険な場所で [DVD]
刑事「ジム・ウィルソン」と彼を取り巻く人々の
運命を描いた本作は
苦味とメッセージ性に彩られた刑事映画であります。
「都会型犯罪との闘い」によって精神を病んだ刑事が
閉鎖的環境&身体+精神障害に対する無理解が
もたらした犯罪に遭遇することによって生じる科学反応を
サスペンス、ロマンス、日常劇風味を融合させながら
写し出していくストーリー&演出は
私に、警察官が抱えるストレス要因、異文化交流がもたらす軋轢
愛&正義漢によって生成される狂気を
映画的に表現する手法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(人情劇&恋愛劇風味が異常心理サスペンス風味を凌駕する
姿に心打たれる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「陰性文学系刑事映画」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
凶悪犯罪と闘う刑事の物語でありながら
スリル&サスペンスよりも主人公&ヒロインの心情に重きを置いた
映像技&作劇法によって
娯楽映画の枠を超え、人間心理&文化論の領域に達した本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。