映画に感謝を捧ぐ! 「悪魔の往く町(1947年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエドマンド・グールディング監督の
「悪魔の往く町(1947年版)」に感謝を捧げようと思います。
ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説
「ナイトメア・アリー」をもとにして1947年に作られた本作は
複数の娯楽特性が交錯する犯罪映画であります。
過酷な人生の中で培われた「知識」と
旅芸人一座の中で習得した「持ち芸」によって
人生を切り開こうとした男の栄光と破滅を
サスペンス・ロマンス・社会派風味を使い分けながら
描いていくストーリー&演出は
私に「人心に潜むモンスター」と
「芸術&精神医療ビジネスの暗部」を映画的に表現する技法と
殺人に依存しないスリル&サスペンス生成術の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(ハッピー・エンド、哀愁、教訓性が静かに絡み合う
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「極道系芸人伝」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
人心操縦術の一端を示しつつ
知識&技術と倫理観の均整を失うことによる悲劇に迫る過激さと
技巧的表現&どんでん返し過多に陥らず
適正なスケール感&スピード感を保ち続ける堅実さを
兼ね備えた本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。