映画に感謝を捧ぐ! 「幻の女」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はロバート・シオドマク監督の「幻の女」に
感謝を捧げようと思います。
ウィリアム・アイリッシュの同名小説をもとにして
1944年に作られた本作は
娯楽的加工術&サスペンス系映像技に
彩られた巻き込まれ映画であります。
小説版の人間模様等を簡略化し
謎解きに重点を置く加工術と
残酷な場面を巧みに抽象化する事によって
鑑賞者の想像力を刺激しつつ
娯楽的スリル&サスペンスを高めていく技術力が
一体となったストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「適正な速度&スケール感」を維持する
物語&映像の醍醐味と
「経済力&暴力」を駆使した情報支配の恐怖を
映画的に表現する手法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(事件の真相を明確にしつつ
犯人の真意を鑑賞者の想像にゆだねる
「決着の付け方」となっている点も見逃せません。)
まさに「暇つぶし映画的脚色術&映像技入門」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
情緒やロマンスを抑制し
冤罪の恐怖&犯罪捜査のスリルを追求する精神と
見世物的残酷描写に依存せず
映像技&演技によって写し出される狂気に圧倒される本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。