映画に感謝を捧ぐ! 「ダマスカス」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はエイブラヒム・ハタミキア監督の「ダマスカス」に

 感謝を捧げようと思います。

ダマスカス [DVD]
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上官の命令に背いてシリアでの輸送任務に参加した

 イラン軍兵士「アリ」と彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は

 異文化が複雑且つ豪快に絡み合う戦争映画であります。

 中東文化とアメリカ文化

 2010年代の中東情勢と1997年の映画「コン・エアー

 ホラー的人体破壊とアクション映画的戦闘描写

 イラン軍礼賛精神と娯楽映画的サービス精神が

 融合することによって生を受けた

 ストーリー&演出、キャラクター造形は 

 私に、中東情勢をテロ対策映画の王道に即して

 

 加工する手法の一形態と

 

 アメリカ映画が世界各国に与えた影響力の

 一端を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (ヨーロッパ映画的苦味とアメリカ映画的感動誘発術が

 入り交じった幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「異文化交流系戦争映画」の歴史に輝く

 珍味であると言えるでしょう。

 イランで生を受けた戦争映画でありながら

 イスラエルの「キャノン・フィルムズ」の流れを汲む戦闘描写と

 2010年代アメリカ映画的人物像&CGの香りを

 感じさせるという運命の皮肉と

 宗教が「戦争&テロ」を正当化する道具として使われることが

 日常の営みのごとく描かれる恐怖に彩られた本作と

 生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。