映画に感謝を捧ぐ! 「ハーレムにかかる月」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエドガー・G・ウルマー監督の
「ハーレムにかかる月」に感謝を捧げようと思います。
ニューヨークのハーレム(アフリカ系アメリカ人街)の
一角で暮らす人々の運命を描いた本作は
軽量でありながらも過激な女性映画であります。
愛憎劇+極道映画の定番、娯楽映画的サービス精神
アメリカにおけるアフリカ系文化&社会を
融合させることによって生を受けた
ストーリー&演出、キャラクター造形が
効率的且つ技巧的に進行する光景は
私に、小規模映画的俗物性と
社会派的メッセージ性による共同戦線と
暴力&犯罪が日常化することの恐怖を
映画的に表現する手法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(悲劇性&陰鬱さの中に「一筋の希望」を感じさせる
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「日常系極道伝+アフリカ系アメリカ人入門」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
小規模映画会社の特性を生かして
アメリカ映画界の白人重視主義&浮世離れ嗜好に抗う大胆さと
娯楽的アクション・ロマンス・音楽を的確に押さえる堅実さを
兼ね備えることによって
後年の極道映画+日常劇に対する「道しるべ」の一つとなった本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。