映画に感謝を捧ぐ! 「トラベラー(1974年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアッバス・キアロスタミ監督の「トラベラー(1974年版)」に
感謝を捧げようと思います。
サッカー観戦のためにテヘランを目指す少年
「ガッセム」の運命を描いた本作は
アウトロー的魅力と渋味に溢れた子供映画であります。
日常劇、犯罪映画、道中劇の特性が
独特のバランスで共存するストーリーと
素朴さとサスペンス的怪しさを兼ね備えた風景描写が
効率的且つ和やかに進行する光景は
私に、人生に宿るサスペンス+ドラマ性の一端と
愛情&目的意識が生み出す「熱気&知略」の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「死」とは異なる形態の残酷性&哀愁を静かに醸し出す
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「日常系極道冒険活劇」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
サッカー観戦のために知略&体力の限りを尽くし
過酷な道を突き進む主人公の姿が
善悪の二元論を超越するほどの魅力と
強固な信念&個性故に世に受け入れられぬ
人間特有の哀愁を放つ本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。