映画に感謝を捧ぐ! 「裸の町(1948年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はジュールズ・ダッシン監督の「裸の町(1948年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

裸の町 [DVD]
裸の町 [DVD]

 深夜のニューヨークで発生した殺人事件に関わる

 人々の運命を描いた本作は

 静かなる実験精神に溢れた犯罪捜査劇であります。

 NYを擬人化したかのような「語り部」の目線で

 殺人捜査を描いていくという発想と

 娯楽的見せ場作りを極限まで抑制し

 舞台の持つ「個性」を最大限に発揮することに

 重きを置いた映像技が一体となる光景は

 私に「殺人事件の多面性」を映画的に表現する技法と

 記録映像的クールさ&臨場感と

 娯楽映画的スリル&サスペンスが

 独特のバランスで共存する現象の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (大都会ならではの冷酷さ、刑事の宿命

 殺人事件に関わった人々が抱える心の傷を

 軽快且つ静かに写し出す幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「ご当地型犯罪サスペンス」の雄と呼ぶにふさわしい

 作品であると言えるでしょう。

 記録映像と娯楽作品の手法を融合させ

 「町」を主人公とした犯罪捜査劇を作り出すという

 大いなる実験によって

 後年の刑事映画&ドラマに対する「道しるべ」の一つとなった本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。