映画に感謝を捧ぐ! 「私は殺される」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアナトール・リトヴァク監督の
「私は殺される」に感謝を捧げようと思います。
電話の混線によって殺人計画を知ってしまった女性
「レオナ・スティーヴンス」の運命を描いた本作は
静かなる技巧とアイデア性に彩られた巻き込まれ映画であります。
ヒロインの行動を極限まで抑制し
「電話」の持つ特性&回想描写によって
スリル&サスペンスを高めていくストーリー&演出は
私に「物理的制約」を知略&技術で補う技法と
愛情に潜む「暗黒面」&恐怖によって心を蝕まれた女性と
劣等感と野心に翻弄され、悪に染まった男性の悲劇を
映画的に表現する手法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(巻き込まれ映画史上屈指の「クールな残酷性」を
感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに映像技と作劇法が最高の相性で結ばれる事によって
生を受けた「技巧派巻き込まれ映画」であると言えるでしょう。
ベッドから離れられないまま運命に翻弄されるヒロインを通じて
映画における小道具の有効活用術と
「スケール感の適性範囲」を保ち続けることの重要性を世に示した本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。