映画に感謝を捧ぐ! 「ホームワーク(1989年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はアッバス・キアロスタミ監督の「ホームワーク(1989年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

ホームワーク ニューマスター版 [DVD]
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 「宿題」を題材にした本作は

 静かなる熱気と変化球的な発想に彩られた

 記録映像であります。

 子供たちの「宿題事情」を通じて

 イラン社会の実態を世に示すという発想

 技巧性を極限まで抑制し

 「実像」を写し出すことを追求した映像

 淡々とした空気の中に

 子供たちへの「配慮」を宿す語り口が一体となる光景は

 私に「子供を通じて大人社会に迫る」手法と

 娯楽映画技法に依存しない記録映像作りの一形態を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (聞き手と少年達を結ぶ「静かなる絆」によって

 一筋の希望を照らす幕切れと

 なっている点も見逃せません。)

 まさに「生真面目系歴史&社会教材映像」の一翼を担う

 作品であると言えるでしょう。

 身近な問題から社会の問題を追う手法と

 記録映像作りにおける

 「語り手の主観を極限まで抑制すること」の重要性を

 体現する本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。