映画に感謝を捧ぐ! 「カラスの飼育」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はカルロス・サウラ監督の「カラスの飼育」に
感謝を捧げようと思います。
マドリードの一角に住む三姉妹と
彼女たちを取り巻く人々の運命を描いた本作は
和やかな妖気に包まれたホームドラマであります。
愛と憎しみが静かに渦巻く日常を
サスペンス・ホラー・ポルノ・MTV要素を
状況に応じて使い分けながら描いていくストーリー&演出は
私に「怪奇的ムードと愛憎劇的ムードによる共同戦線」と
「子供目線から見る大人社会」・「人生の光と闇」
「死と生の関係」を映画的に表現する技法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(平穏さの中に様々な不安要素を宿す幕切れが
ハッピー・エンドや悲劇的結末とは異なる
渋味の利いた味わいをもたらしている点も見逃せません。)
まさに「愛憎系日常劇」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
愛と憎しみ、大人と子供、娯楽性と陰性文学性
サスペンスとエロティシズムが静かにせめぎ合う本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。