映画に感謝を捧ぐ! 「青ひげ(1944年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエドガー・G・ウルマー監督の「青ひげ(1944年版)」に
感謝を捧げようと思います。
人形遣い「ガストン・モレル」と彼を取り巻く人々の
運命を描いた本作は
軽快且つ上品な狂気に彩られた犯罪映画であります。
猟奇性と神秘性、効率性と渋味
大衆娯楽的サービスと映画的実験が一体となった
ストーリー&演出は
私に「小説の挿絵」風味溢れる映像作りと
見世物感と文学性の均整を保ちながら
「芸術的狂気」に迫る試みの
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(恋愛悲劇的な真相→活劇的な逃走劇の後に
「怪奇映画的不気味さ」を感じさせる幕切れへと着地する
七変化的作品であるという点も見逃せません。)
まさに「軽量級異常心理劇」の雄と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
残酷な場面を巧みに抽象化し
暇つぶし映画的躍動感を保ちつつ
スリル&サスペンスを生成する映像技と
後年のサスペンス映画に対する「道しるべ」の一つとなった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。