映画に感謝を捧ぐ! 「ミステリー・ツアー」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジェイ・チャンドラセカール監督・出演の
「ミステリー・ツアー」に感謝を捧げようと思います。
観光島に潜む殺人鬼に立ち向かう
人々の運命を描いた本作は
緩やかにして豪快なブラック・ユーモアに彩られた島系ホラーであります。
ホラー映画特有の
「連続殺人が発生しても登場人物の緊張感が薄い」を
観光地ならではの解放感&アトラクション感によって
正当化する手法
出たとこ勝負的に「真相」を生成する作劇法
サスペンスとコメディの要素を組み合わせたかのような
残酷描写が一体となる光景は
私に「危機に対応する人々」と危機を認識できない人々の
温度差によってブラック・ユーモア的空気が生成される現象と
残酷さと滑稽さ、意外性の追求とその場しのぎ主義の
秘めたる共通項の一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(ハッピー・エンドの爽快感よりも
殺人鬼の人知を越えた耐久力が印象深い
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「観光感覚ホラー」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
観光地の舞台裏で生きる人々の思いと
閉鎖系サスペンス&ホラー映画の伝統芸を融合させた後
東西神秘要素を豪快に詰め込むことによって生を受け
アトラクション的残酷さと観光地&ホラー映画に対する皮肉を
兼ね備えた存在となった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。