映画に感謝を捧ぐ! 「北極圏対独海戦1944」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はセミュヨーン・アラノウィッチ監督の

 「北極圏対独海戦1944」に感謝を捧げようと思います。

北極圏対独海戦1944 FBX-009 [DVD] - セミュヨーン・アラノウィッチ
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 ドイツ軍艦隊の侵攻に立ち向かう

 ソビエト(現ロシア)空軍兵士たちの運命を描いた本作は

 大作感と軽量級作品感がせめぎ合う戦争映画であります。

 戦闘よりも人間模様を重視し

 複数人物の目線を流離いながら進行するストーリーと

 軍事アクションと記録映像を

 融合させたかのような演出が一体となる光景は

 私に「戦争における人命の小ささ」

 「戦争の残酷さ」を映画的に表現する手法と

 倹約精神と見せ場主義の均整を保った戦争映画作りの

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (娯楽的高揚感を極限まで抑制し

 登場人物の最期をクールに描写することによって

 作品のメッセージ性を高める幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「群像劇型戦争映画」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。

 戦争に関わる人々の生き様を効率的に処理することによって

 感情移入を抑制するかのような作劇法と

 冷酷なまでに淡々とした戦闘描写によって

 戦争の現実に歩み寄った戦争映画を生成しようと

 するかのような気配を放つ本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。