映画に感謝を捧ぐ! 「風が吹くまま」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアッバス・キアロスタミ監督の「風が吹くまま」に
感謝を捧げようと思います。
風が吹くまま ニューマスター版 [DVD] - ベーザード・ドーラニー, ファザード・ソラビ, アッバス・キアロスタミ
クルド系の村で葬儀の取材を試みたTV演出家
「ベーザード」と彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
静かなる異文化交流に彩られた日常劇であります。
「葬儀の記録映像作り」を目的とする
主人公一行という大胆な状況設定と
「事件」に依存しないストーリー展開&素朴な映像表現を
融合させることによって
人生論&死生論と日常劇を両立させるという試みは
私に「都会文化と村社会の交流」と
「生命」の神秘性&穏健なる創作的狂気を
映画的に表現する手法の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(状況設明を極限まで抑制し
絵画+動画的表現に徹することによって
主人公たちの「行き着く先」を鑑賞者の心にゆだねる
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「日常系純文学&哲学」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
生と死、近代文化と伝統文化
記録映像的表現と娯楽映画的表現が
静かに交わる本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。