映画に感謝を捧ぐ! 「不審者」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジョセフ・ロージー監督の「不審者」に
感謝を捧げようと思います。
不審者 [DVD] - イブリン・キース, バン・ヘフリン, ジョン・マックスウェル, アーサー・ミラー, ジョセフ・ロージー, サム・スピーゲル, ヒューゴ・バトラー, イブリン・キース
豪邸に住む主婦「スーザン・ギルブレイ」と
警官「ウェブ・ガーウッド」の運命を描いた本作は
大衆性と風刺性が激しく交錯する愛憎劇であります。
挫折感と日常への不満という「絆」によって
不倫関係となった男女の悲劇を通じて
アメリカ社会の「闇」をえぐり出していくストーリーと
各種サスペンス技法に彩られた演出が一体となる光景は
私に人生&社会に宿る「魔性」を映画的に表現する手法と
娯楽映画的サービス精神と社会風刺を両立させる技法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(勧善懲悪の爽快感よりも
男性の凶悪性+繊細さと女性の純真さ+複雑さが
印象深い幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「不倫映画型アメリカ論」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
愛と狂気が渦巻く男女関係を通じて
「アメリカン・ドリーム」の裏側、自制を失った権力の恐怖
都会生活に宿る精神荒廃、男女の精神的相違点が
もたらす惨状を写し出す本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。