映画に感謝を捧ぐ! 「雨」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はルイス・マイルストン監督の「雨」に
感謝を捧げようと思います。
雨《IVC BEST SELECTION》 [DVD] - ジョーン・クロフォード, ウォルター・ヒューストン, ルイス・マイルストン
サマセット・モームの小説「ミス・サディ・トンプソン」を
もとにして1932年に作られた本作は
多彩な顔を持った愛憎劇であります。
宗教と俗世、ロマンスとサスペンス&ホラー
J・クロフォードの魅惑とW・ヒューストンの熱演
トーキーとサイレントの技がせめぎ合う
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私に、己を「正義」と信じる人間特有の狂気
旅行&異文化交流に潜む危険要素を
映画的に表現する手法と
文学性、メッセージ性、娯楽的サービスによる
共同戦線の一形態を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「雨」に台詞以上の存在力&暗示性を持たせている点と
人間の持つ「本能」が導く悲劇&癒しを示しつつ
鑑賞者に解釈をゆだねる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「恋愛系宗教&社会論」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
「ミス・サディ・トンプソン」の世界を映画的に表現する
2度目の試みを通じて
映画技法の歴史、スター主義とストーリー主義の共存法
善と悪の秘めたる近似性&見えざる結びつきを写し出す本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。