映画に感謝を捧ぐ! 「飢ゆるアメリカ」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はウィリアム・A・ウェルマン監督の

 「飢ゆるアメリカ」に感謝を捧げようと思います。

飢ゆるアメリカ [DVD] - リチャード・バーセルメス, アリーン・マクマホン, ロレッタ・ヤング, ゴードン・ウェストコット, ウィリアム・A・ウェルマン
飢ゆるアメリカ [DVD] - リチャード・バーセルメス, アリーン・マクマホン, ロレッタ・ヤング, ゴードン・ウェストコット, ウィリアム・A・ウェルマン

 第1次大戦から帰還した男「トム・ホームズ」と

 彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は

 1930年代のアメリカ映画界に潜む

 「大胆さ」を象徴する過激作であります。

 暇つぶし規模のスケール感&スピード感を維持しつつ

 戦争の不条理性&アメリカ社会を覆う「病理」の一つをえぐり出す

 ストーリー&演出、キャラクター造形は

 私に、娯楽映画的効率性&見せ場主義と

 社会派的メッセージ性による共同戦線と

 金銭+テクノロジーが人心&社会に与える影響を

 映画的に表現する手法の一形態を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (「悲劇的な未来」を予見しつつ

 「娯楽映画的ハッピー・エンド」を演じるかのような

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「軽量級アメリカ入門」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。

 戦争&社会の非情さによって不運の底なし沼へと沈んでいく

 主人公の生き様を通じて

 良心による「制御」を失った資本主義の恐怖を写し出すという

 大いなる実験を試みた本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。