映画に感謝を捧ぐ! 「私の殺した男」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はエルンスト・ルビッチ監督の

 「私の殺した男」に感謝を捧げようと思います。

私の殺した男 [DVD] - ライオネル・バリモア, エルンスト・ルビッチ
私の殺した男 [DVD] - ライオネル・バリモア, エルンスト・ルビッチ

モーリス・ロスタンの同名戯曲をもとにして

 1932年に作られた本作は

 軽量でありながらも渋味&重厚感に溢れた

 悲劇であります。

 戦争がもたらした精神的喪失&荒廃を

 乗り越えようとする人々の姿を

 宗教論、ささやかなユーモア&サスペンス

 ロマンス、ホームドラマを融合させた

 ストーリー&演出によって写し出していくという試みは

 私に「メッセージ性、文学性、効率性」が

 驚異的なバランス感覚によって並び立つ光景と

 「復讐劇礼賛」に対する静かなる警鐘の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (「ハッピー・エンド」風味の中で

 

 皮肉と癒し性が静かに絡み合う幕切れによって

 

 鑑賞者に「考える機会」を与える作品であるという点も

 見逃せません。)

 まさに「軽量級戦争トラウマ映画」の歴史に輝く

 強豪作であると言えるでしょう。

 恋愛喜劇の雄E・ルビッチ監督の映像技と

 

 「過激&繊細な題材」と娯楽性の均整を保つ作劇法の融合によって

 

 戦争がもたらす「トラウマ」を題材とした映画の幕開けを告げた本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。