映画に感謝を捧ぐ! 「3階の見知らぬ男」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はボリス・イングスター監督の「3階の見知らぬ男」に

 感謝を捧げようと思います。

3階の見知らぬ男 [DVD] - ペーター・ローレ, ボリス・イングスター
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 殺人事件の証人となった新聞記者「マイケル・ウォード」と

 彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は

 技巧と風刺性が軽やかに交錯する巻き込まれ映画であります。

 軽量級作品の枠内において

 

 時系列操作、イメージ映像、心の声を最大限に活用して

 アメリカ社会の「病理」に迫るストーリーと

 光、影、多彩な目線による絵画的映像によって

 登場人物の心理を写し出す演出が一体となる光景は

 私に、映像技法と作劇技法による共同戦線と

 暇つぶし映画的躍動感、純文学的重厚感

 

 社会派的メッセージ性による平和的共存の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (犯人&冤罪で投獄された男の内情を曖昧化しつつ

 「ハッピー・エンド」を迎えることによって

 和やかさと危うさが絡み合う幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「文学系+技巧派巻き込まれサスペンス」の

 雄と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。

 巻き込まれサスペンスの王道に沿って物語を進行させる一方で

 様々な映像的実験を試み

 同時に、陪審員制度に潜む危険要素

 日常に隠れた殺人誘発要素

 

 「表面的イメージ」の暴走がもたらす恐怖を

 世に知らしめるという軽業的試みに挑んだ本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。