映画に感謝を捧ぐ! 「十字砲火」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエドワード・ドミトリク監督の「十字砲火」に
感謝を捧げようと思います。
十字砲火 [DVD] - ロバート・ヤング, エドワード・ドミトリク, ロバート・ヤング, ロバート・ミッチャム, ロバート・ライアン, グロリア・グラハム, ジョン・パクストン, J.ロイ・ハント, ロイ・ウェッブ
リチャード・ブルックスの小説「瓦礫の塹壕」を
もとにして作られた本作は
軽量級の枠内で重厚な問題提起に挑んだ
サスペンス映画であります。
殺人事件の捜査を通じて
「戦争」が人心に与えるダメージと
アメリカを覆う病理の一つ「人種差別」を
えぐり出したストーリー&キャラクター造形と
暇つぶし映画的スピード感を保ちつつ
娯楽的スリル&サスペンスの生成を
追求した演出が一体となる光景は
私に「堅実な娯楽的サービスを提供しながら
過激な告発を行う」手法と
残酷な場面を巧みに抽象化しつつ
殺人者の「狂気」を描写する技法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(ファースト・ネームの縁で結ばれた?俳優3人の名演と
娯楽映画的ハッピー・エンドへと着地しつつも
ある種の虚しさを感じさせる幕切れと
なっている点も見逃せません。)
まさに「犯罪サスペンス型アメリカ入門」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
軽量級作品的見世物感&躍動感と
世界を蝕む狂気に対する警鐘を
バランス良く配合することによって
後年のサスペンス映画に対する「道しるべ」の
一つとなった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。