映画に感謝を捧ぐ! 「モルグ街の殺人(1932年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はロバート・フローリー監督の
「モルグ街の殺人(1932年版)」に感謝を捧げようと思います。
エドガー・アラン・ポーの同名小説をもとにして
1932年に作られた本作は
「密室殺人」というアイデアを世に放った小説を
軽業師的バランス感覚に映像化した
怪奇映画であります。
見世物&暇つぶし感満載でありながらも
一定の文学性&神秘性を感じさせる
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私に残酷な場面を抽象化する事によって
鑑賞者の想像力を刺激する技法と
「科学」を探求する人間特有の狂気
動物と人間を結ぶ「野性的絆」、科学捜査の歴史を
映画的に表現する手法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(後年の「キング・コング」に通じる道を切り開いた最終決戦と
「ハッピー・エンド」によって様々な問題を隠蔽することによって
犯罪捜査&娯楽映画に対する「無意識の皮肉」を放つ
幕切れも見逃せません。)
まさに「怪奇系自然&人間論」・「文学の映像化術入門」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
後年の推理小説に対する「道しるべ」となった作品を
見世物小屋+舞台劇の精神を生かしながら
映画化することによって
怪奇映画史における「大いなる一歩」となった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。