映画に感謝を捧ぐ! 「淑女と髯」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回は小津安二郎監督の「淑女と髯」に
感謝を捧げようと思います。
あの頃映画 松竹DVDコレクション 「東京の合唱/淑女と髯」 - 岡田時彦, 八雲恵美子, 菅原秀雄, 高峰秀子, 川崎弘子, 飯田蝶子, 伊達里子, 小津安二郎
大学生「岡嶋」と彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
軽快なる異文化交流に彩られた
和製サイレント喜劇であります。
時代劇&青春映画の香り漂う主人公の人生が
「髯」を剃ることによって恋愛喜劇へと転じていく現象を通じて
せめぎ合いを写し出していくストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「外見と人生の関係」に関する一考察と
人情喜劇とドタバタ喜劇、日本的情緒と西洋的映画技術の
味わい&技法が絶妙のバランスで配合される事によって生じる
科学反応の一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(人生に対する鋭い目線とユーモラスさを兼ね備えた
A・リンカーンの名言が冴え渡る幕切れと
なっている点も見逃せません。)
まさに「軽量級人情+恋愛喜劇」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
現実感とおとぎ話感、滑稽さと渋味
娯楽的サービスと教訓劇的メッセージ性
効率主義とストーリー主義が絡み合いながら
人生の転機を迎えた男の心情と
愛に目覚めていく女の心情を描いていく本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。