映画に感謝を捧ぐ! 「裁きは終りぬ」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアンドレ・カイヤット監督の「裁きは終りぬ」に
感謝を捧げようと思います。
裁きは終わりぬ [DVD] - ヴァレンティーヌ・テシエ, クロード・ノリエ, レイモン・ビュシエール, ジャン・ドビュクール, ジャック・カステロ, レイモンド・ルグラン, アンドレ・カイヤット, シャルル・スパーク, ジャン・ブールゴワン
愛人を安楽死させ、殺人容疑で逮捕された女性と
陪審員7人の運命を描いた本作は
文学的苦味の利いたスリル&サスペンスに
彩られた裁判劇であります。
事件の真相究明と陪審員&彼らを取り巻く人々の生き様が
静かに交錯するストーリーと
娯楽的盛り上げを抑制したクールな演出が一体となる光景は
私に精神と人生、生と死、社会と個人の関係に関する一考察と
「犯罪」の真実に迫る人々が背負う代償と
死に関わることの重みを映画的に表現する試みの
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(事件の真実に迫る道のりと
裁判を客観的に見つめ、正しく人を裁くという行為の
過酷さ&困難さを静かに写し出す幕切れが
ハッピー・エンドと悲劇の二元論を超越するほどの
現実感&存在力を放っている点も見逃せません。)
まさに「裁判劇型社会&人間論」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
後年の「12人の怒れる男」に通じる問い掛け
推理小説と純文学小説を融合させたかのような空気感
庶民的ムードと舞台劇的ムードを兼ね備えた俳優&女優陣が一堂に会した本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。