映画に感謝を捧ぐ! 「審判」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はオーソン・ウェルズ監督・出演の

 「審判」に感謝を捧げようと思います。

審判 [DVD] - オーソン・ウェルズ, オーソン・ウェルズ, オーソン・ウェルズ, オーソン・ウェルズ
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 フランツ・カフカの同名小説をもとにして作られた本作は

 魅惑的&暗示的狂気に彩られたい不条理劇であります。

 権力の魔性、運命の悪戯、謎めいた人間たちに

 翻弄されていく主人公の姿を

 文学+戯曲的に描いていくストーリー

 光と闇を駆使した映像技によって

 迷宮+絵画感を醸し出す演出、美しくも妖しげな音楽

 

 小説の挿絵+異世界感に満ち溢れた舞台&装飾

 A・パーキンス&O・ウェルズの激しくも技巧的な怪演が

 一体となる光景は

 私に人間によって生を受けながら

 人知を越えた怪物へと変異していく「社会」を

 純文学&異常心理劇的に表現する試みと

 小説、舞台、映画文化による共同戦線の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (壮絶なる幕切れの後に「舞台劇風紹介」を加えることによって

 鑑賞者に「作り手の意図を探らせる」かのような

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「不条理文学系映画」の雄と呼ぶにふさわしい

 作品であると言えるでしょう。

 F・カフカによって創造された不条理世界

 我が道を往く精神と芸術家的狂気によって

 アメリカ映画界で孤立を深めていった俳優+監督O・ウェルズ

 1960年代の主演作「サイコ」に取り憑かれ

 運命を狂わされた俳優A・パーキンス

 ヨーロッパ映画文化の交わりによって生を受けた本作と

 生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。