映画に感謝を捧ぐ! 「野望の果て(1948年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はエドガー・G・ウルマー監督の
「野望の果て(1948年版)」に感謝を捧げようと思います。
野望の果て [DVD] - ザガリー・スコット, エドガー・G・ウルマー, ザガリー・スコット, ルイス・ヘイワード, ダイアナ・リン
デイトン・ストッダードの小説をもとにして作られた本作は
愛憎劇と陰謀劇が軽快且つ上品に絡み合う一作であります。
貧困への憎悪&女性不信によって
欲望の赴くままに女性を操る存在へと変異した男の生き様を
ラブストーリー、サスペンス、サクセス・ストーリー、抗争劇の
手法を操りながら写し出していく
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「子供時代の環境」が人心に与える影響を
映画的に表現する試みと
暴力的表現を抑制したスリル&サスペンス生成術の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(欲望の底なし沼へと堕ちていく人間の末路を
物理的に描写するかのような幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「極道+愛憎系サクセス・ストーリー」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
悪女映画の性別を逆転させたかのような男女関係と
複雑怪奇なビジネス戦争を
状況設明の抑制と見せ場主義の均整を保つことによって
軽やかに描写していく映像技が冴え渡る本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。