映画に感謝を捧ぐ! 「暴力団再武装」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回は佐藤純彌監督の「暴力団再武装」に

 感謝を捧げようと思います。

東映任侠映画DVDコレクション 111号 (暴力団再武装) [分冊百科] (DVD付) (東映任侠映画傑作DVDコレクション)
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 組の利権拡大のために港町へと乗り込んだ

 暴力団幹部「若竹」と彼を取り巻く人々の

 運命を描いた本作は

 男たちの心情が暴力的且つ

 複雑に絡み合う極道映画であります。

 東映任侠路線の王道に対する忠誠と疑心

 労働者と暴力団+警察+企業

 銃撃戦と剣劇戦、時代劇風味と1970年代的反抗文化が

 壮絶にせめぎ合う事によって複雑怪奇化していく

 ストーリー&演出、キャラクター造形は

 私に「極道」の世界に生きる人間の末路

 組織の論理と個人の情がぶつかり合うことによる悲劇

 極道組織と権力者&商売人を結ぶ縁を

 映画的に表現する試みと

 史劇的人間模様とアクション映画的暴力が

 独特のバランスで共存する光景の

 一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (勧善懲悪の爽快感よりも

 権力不信と暴力の虚しさを重視しつつ

 登場人物を静かに突き放すかのような

 

 幕切れとなっている点も見逃せません。) 

 まさに「極道映画系権力&大衆心理論」の

 一翼を担う作品であると言えるでしょう。

 活劇ヒーロー的見せ場作りと

 正義を振りかざす人間特有の「不寛容さ」に対する皮肉

 労使間抗争と暴力団抗争、凶暴性と哀愁

 和風暴力描写と洋風暴力描写が交錯する本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。