映画に感謝を捧ぐ! 「無法者ブラック・バート」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジョージ・シャーマン監督の
「無法者ブラック・バート」に感謝を捧げようと思います。
無法者ブラック・バート [DVD] - ランドルフ・スコット, ロバート・ライアン, アン・ジェフリー, レイ・エンライト, ランドルフ・スコット
「ブラック・バート」の異名を持つ無法者
「チャーリー・ボールズ」と彼を取り巻く人々の
運命を描いた本作は
軽快にして貪欲なサービス精神に
彩られた西部劇であります。
西部劇の定番に即したアクション・シーンを多用しつつ
殺人を極限まで抑制する穏健な知略
西部劇の世界にコミック・ヒーロー風アウトローを
登場させる奇策性
男性に宿る性的欲求、反権威、無法者への潜在的憧れを
的確に押さえる堅実さを兼ね備えた
ストーリー&演出、キャラクター造形が
効率的に進行する光景は
私に、善男善女向けサービスと極道映画的サービスを
共存させようという試みと
盗みを生業とする人間の本能と
正義を掲げる人間特有の不寛容さが
もたらす悲劇を西部劇的に表現する手法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(壮絶なる決着の後にコメディ的どんでん返しを繰り出す
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに王道性と実験性が絡み合う
「軽量級極道系西部劇」であると言えるでしょう。
欲望渦巻きながらもユーモラスな泥棒劇から
殺人を行わない悪漢と凶暴なる正義漢との死闘へと
急展開していくことによって
極道の哀しみを示しつつ、勧善懲悪への皮肉を放つ本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。