映画に感謝を捧ぐ! 「弥次喜多 善光寺詣り」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回は辻吉郎&小林弥六監督の

 「弥次喜多 善光寺詣り」に感謝を捧げようと思います。

弥次喜多善光寺詣り [DVD] - 尾上松之助, 辻吉郎
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 十返舎一九の小説「東海道中膝栗毛」を

 もとにして1921年に作られた本作は

 壮絶なる喜劇力に溢れたサイレント時代劇であります。

 アクション、サスペンス、SF的状況を

 主人公「弥次さん&喜多さん」の持ち味を生かしつつ

 コメディ風に加工する事によって生を受けた

 ストーリー&演出、キャラクター造形を

 短篇集的につないでいくという試みは

 私に「和風喜劇的加工術」の一形態と

 「旅」の持つ物語的可能性の一端を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (荒唐無稽感に満ちたストーリー展開を

 巧みに正当化させる幕切れと

 なっている点も見逃せません。)

 まさに「喜劇型道中系時代劇」の雄と呼ぶにふさわしい

 作品であると言えるでしょう。

 漫才的笑い、観光旅行的風景、活劇的アクション

 アニメーション映画的妖怪造形&特殊効果を組み合わせ

 効率的に進行させることによって

 後年の「東海道中膝栗毛」系映像作品に対する

 大いなる道しるべとなった本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。