映画に感謝を捧ぐ！ 「パニック（１９４６年版）」

　映画弁護人ＧＨＭ（西村哲也）です。

　今回はジュリアン・デュヴィヴィエ監督の

　「パニック（１９４６年版）」に感謝を捧げようと思います。

フランス映画パーフェクトコレクション フィルム・ノワール 暗黒街の男たち DVD10枚組 ACC-141 - ルイ・ジューヴェ, シモーヌ・ルナン, ヴィヴィアーヌ・ロマンス, ミシェル・シモン, ミレーユ・バラン, レイモン・ルーロー, ピエール・フレネー, ジネット・ルクレール, シモーヌ・シニョレ, ベルナール・ブリエ, アリ・ボール, インキジノフ, ルネ・ルフェーブル, フロレル, ピエール・ルノワール, ヴィンナ・ヴィニフリート, エディ・コンスタンティーヌ, ドミニク・ウィルムス, フィリップ・ ルメール, ジュリエット・グレコ, アンリ=ジョルジュ・クルーゾー, ジュリアン・デュヴィヴィエ, ジャック・ベッケル, イヴ・アレグレ, ジュリアン・デュヴィヴィエ, ジャン・ルノワール, ベルナール・ボルドリー, ジャン=ピエール・メルヴィル

　ジョルジュ・シムノンの小説「仕立て屋の恋」を

　もとにして１９４６年に作られた本作は

　技巧性とメッセージ性が共存するサスペンス映画であります。

　心に負った傷故に様々な顔を持つ存在となった男の

　無器用な愛情＆生き様

　女を欲望を満たすための道具として操る男と

　愛によって悪行の底なし沼へと沈んだ女の計略

　抽象的な情報＆先入観によって操られた

　地元住民達の暴動によって巻き起こる悲劇を

　小道具＆舞台を生かした映像技と

　犯罪サスペンスの王道に即しつつ

　社会派要素を段階的に挿入する作劇法によって

　写し出していくストーリー＆演出は

　私に「愛」の持つ魔性、自制なき正義漢の恐怖

　大衆的狂気を映画的に表現する試みと

　娯楽映画的サービス精神と風刺劇的メッセージを

　両立させる妙技の一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

　（後年の「ストーカー心理」・「情報化社会の暗部」を先取りしている点と

　事件の真相を知り、犯人を追いつめる刑事の姿を描きながらも

　虚しさを感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。）

　まさに「サスペンス映画型社会＆男女論」の

　一翼を担う作品であると言えるでしょう。

　単純な殺人事件が町全体を混乱させる事態へと

　発展していく恐怖を

　娯楽要素と風刺要素、シリアスとユーモアの均整を

　保ちながら描いていく本作と

　生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を！！！。