映画に感謝を捧ぐ! 「サラエボの花」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はヤスミラ・ジュバニッチ監督の
「サラエボの花」に感謝を捧げようと思います。
サラエボの花 [DVD] - ミリャナ・カラノビッチ, ルナ・ミヨビッチ, レオン・ルチェフ, ケナン・チャティチ, ヤスミラ・ジュバニッチ, ヤスミラ・ジュバニッチ, ミリャナ・カラノビッチ
サラエボの一角で暮らす母娘と
彼女たちを取り巻く人々の運命を描いた本作は
静かなる陰鬱さ&危うさに彩られた日常劇であります。
穏やかな日常風景の中に「戦争のトラウマ」を宿した
ストーリー&演出、キャラクター造形が
娯楽的高揚感を極限まで抑制しながら進行する光景は
私に「戦争」の間接被害を映画的に表現する試みと
サスペンス的謎解きと陰性ホームドラマ+青春映画的人間模様が
独特のバランスで共存する現象の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(真実によってもたらされた絶望の中に
「ささやかな希望」を見いだそうとするかのような
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「母娘劇型反戦映画」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
ボスニア紛争がもたらした「精神的ダメージ」を抱えながら
日々を生きる人々の平穏でありながらも過酷な人生を
娯楽映画的見せ場作りに依存することなく描くという難題に挑んだ本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。