映画に感謝を捧ぐ! 「立ち上がる米国」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はウィリアム・A・ウェルマン監督の
「立ち上がる米国」に感謝を捧げようと思います。
立ち上がる米国 [DVD] - リチャード・ディックス, アン・ハーディング, エドナ・メイ・オリヴァー, ウィリアム・A・ウェルマン, リチャード・ディックス
人生を切り開くため西へと旅立った夫婦
「ロジャー&キャロル」と彼らを取り巻く人々の
運命を描いた本作は
スケール感と躍動感に彩られた史劇であります。
夫婦の人生とアメリカの歴史を絡み合わせながら
描いていくという発想
見せ場となる部分以外を徹底的に効率化する編集術
状況設明台詞を抑制し、映像で語ることに重きを置く精神
様々な娯楽要素を取り込むサービス精神が
一体となったストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「1870年代後半~1920年代前半」のアメリカ情勢を
娯楽映画的に表現する試みの一形態と
銀行と社会の関係に関する一考察を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(アメリカに対する信頼と人生の後期に到達した人間の哀愁が
静かに交錯する幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「夫婦劇型アメリカ史入門」の一翼を担う作品であると言えるでしょう。
ホームドラマ要素と史劇要素の均整を保ちながら
アメリカの栄枯盛衰を写し出す事によって
後年の史劇に対する「道しるべ」の一つとなった本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。