映画に感謝を捧ぐ! 「下宿人(1926年版)」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回はアルフレッド・ヒッチコック監督の

 「下宿人(1926年版)」に感謝を捧げようと思います。

下宿人 [DVD] - アイヴァ・ノヴェロ, マリー・オールト, マルコム・キーン, アルフレッド・ヒッチコック
下宿人 [DVD] - アイヴァ・ノヴェロ, マリー・オールト, マルコム・キーン, アルフレッド・ヒッチコック

 マリー=ベロック・ローンズの同名小説をもとにして

 1926年に作られた本作は

 サスペンス技法史における「大いなる一歩」となる

 記念碑的作品であります。

 「連続殺人」を題材としたサスペンスの法則を的確に押さえつつ

 効率性と見せ場主義の均整を保ちながら進行するスト-リーと

 映像によって登場人物の抱える不安&狂気を描写することを

 徹底追求した演出

 絵画的ムードと庶民的ムードを兼ね備えた

 俳優&女優陣が一体となる光景は

 私に「言葉」による説明を極限まで抑制し

 映像で語ろうとする手法と

 動機の見えない殺人が人心に与える影響を

 映画的に表現する試みの一形態を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (殺人犯の実像よりも大衆的狂気や

 トラウマからの解放に重きを置いた

 最終局面となっている点も見逃せません。)

 まさに「異常心理サスペンス技法入門」の

 一翼を担う作品であると言えるでしょう。

 「切り裂きジャック事件」がもたらす想像力の刺激が生んだ小説

 A・ヒッチコック監督ならではのスリル&サスペンス生成術

 サイレント映画の持つクールな持ち味が

 融合することによって生を受け

 様々な形で後年のサスペンス映画を導く存在となった本作と

 生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。