映画に感謝を捧ぐ! 「姿なき訪問者」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はW・リー・ワイルダー監督の
「姿なき訪問者」に感謝を捧げようと思います。
姿なき訪問者 - Phantom From Space - - テッド・クーパー, レイラ・ネルソン, W・リー・ワイルダー
連続発生する怪現象の謎に迫る人々の運命を描いた本作は
SF映画史上屈指の「倹約的詰め込み感」に
彩られた珍作であります。
地球外存在、透明人間、テロリズムを
力業でつなぎ合わせつつ
状況設明台詞の連打によって
ストーリー展開の効率化を図る作劇法と
暴力描写&特殊効果を最小限度に留めつつ
SF的恐怖を醸し出そうとする映像技が
一体となったストーリー&演出、キャラクター造形は
私に、ハッタリ精神と倹約精神による平和的共存と
「侵略者との戦い」的方向に向かうと見せかけて
悲劇的方向へと急進する奇襲戦法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(世界の理から弾かれた存在の悲哀を
SF的に表現するかのような
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「SFデパート文学映画」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
SF映画にありがちな要素を網羅しつつ
定番要素を逆手に取った加工を施す事によって
後年のSF映画に対する「道しるべ」の一つとなった本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。