映画に感謝を捧ぐ! 「偉大なるアンバーソン家の人々」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はオーソン・ウェルズ監督&出演の
「偉大なるアンバーソン家の人々」に感謝を捧げようと思います。
偉大なるアンバーソン家の人々 HDマスター [DVD] - ティム・ホルト, ジョゼフ・コットン, ドロレス・コステロ, アン・バクスター, アグネス・ムーアヘッド, レイ・コリンズ, リチャード・ベネット, オーソン・ウェルズ
ブース・ターキントンの同名小説をもとにして作られた本作は
原作小説の醍醐味とO・ウェルズ氏の技&バランス感覚が
融合することによって生を受けながらも
映画会社との対立によって苦闘の日々を
余儀なくされた呪われた家族劇であります。
状況設明台詞の多用と神秘性の確保
スリル&サスペンスとロマンス
史劇的スケール感と暇つぶし映画的効率性の
均整を保ちながら進行する
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私に、舞台劇要素と映画要素による共同戦線と
一家族の変化と時代の変化を絡み合わせる妙技の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(哀しさと優しさ、映画的エンドロールと舞台劇的挨拶が
静かに交錯する幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「純文学+大衆娯楽型家族&時代論」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
名家の栄枯盛衰を通じて
社会の発展によって得るもの&失われていくものを
世に示すという試みと
娯楽要素と文学要素、映画技法と舞台劇技法を
並び立たせる技術力によって誕生し
忘却の彼方に埋もれることを防ごうとする執念によって
我々に「その一部を鑑賞する機会」を残してくれた本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。