映画に感謝を捧ぐ! 「闇のバイブル/聖少女の詩」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はヤロミール・イレシュ監督の
「闇のバイブル/聖少女の詩」に
感謝を捧げようと思います。
ビーチェスラフ・ネズバルの小説
「少女ヴァレリエと不思議な一週間」を
もとにして作られた本作は
幻惑的な映像美と狂気に彩られた怪奇映画であります。
「童話の挿絵」を思わせるような風景&装飾の中で
ポルノ的お色気に依存しないエロティシズムと
暴力&人体破壊を極限まで抑制した怪奇恐怖を駆使しながら
様々な方向へと変化していく
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私に、神秘性と残酷性を兼ね備えた「怪奇恐怖生成術」と
夢と現実、サスペンスとロマンス
怪奇趣味と少女趣味の間で翻弄される現象作りの
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(様々な暗示を与えつつヒロイン達の真実を
鑑賞者の心に委ねるかのような
気配を放つ幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「美術館+文学型迷宮系怪談映画」の
一翼を担う作品であると言えるでしょう。
史劇風味と陰性童話風味、愛と憎しみ&欲望
肉体の世界と心の世界が複雑に絡み合う本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。