映画に感謝を捧ぐ! 「ディヴァイド」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はザヴィエ・ジャン監督の「ディヴァイド」に
感謝を捧げようと思います。
謎の爆発に襲われ、アパートの地下室へと避難した
男女9人の運命を描いた本作は
奇策性と現実感に包まれた災害映画であります。
「世界の危機を題材としつつ、地下室の内&周辺の物語に徹する」
「謎の解明&登場人物の背景描写を極限まで抑制する」
「ホラー的残酷描写&ポルノ的性描写の多用」
「不明瞭感の強い色彩の追求」によって生成された
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「鑑賞者の心情&境遇を登場人物に近づける」試みと
「ハッタリ精神、倹約精神、見世物精神を並び立たせる」手法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(災害映画においてハッピー・エンドと見なされがちな「生還」を
絶望への道であるかのように表現した
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「空間限定型災害系SF」史上屈指の
陰鬱系怪作であると言えるでしょう。
娯楽映画的サービス&作品世界の探求を
徹底的に拒むかのような作劇法&映像技で
世界崩壊を描いていく大胆さに圧倒される本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。